経営が危うく倒産の危険性が高まった際、そのまま倒産を選ぶのは大きなリスクがあります。特に独自の事業を展開している場合には、倒産で今まで積み上げてきたことが0になってしまうためです。倒産を回避するためには、事業再生をおこなうことで事業を維持する「事業再生」を選択する方法もあります。ただ事業再生といっても種類があり、現状でどちらを選ぶべきか見極めなければなりません。そこで事業再生の種類と、その内容について詳しくご紹介します。
事業再生は大きく分けて2つの方法がある
事業再生の方法としては、「法的再生」と「私的再生」があり、それぞれにまた区分があります。簡単にいうと、法的再生は裁判所が関与しておこなうもの、私的再生は裁判所を通さずにおこなうものです。ただどちらも手続きには専門家が必要となります。法的再生の場合は裁判所が関与するため、再生完了まで監督がつくことになります。2つの事業再生の内容について詳しく見ていきましょう。
法的再生の5つの種類
法的再生の手続きには、再建型と呼ばれる3つと、清算型と呼ばれる2つの方法があります。
再建型の法的再生
会社を再建させることで事業再生を図るのが「再建型」です。民事再生手続きや会社更生手続きをおこないます。民事再生は「民事再生法」、会社更生は「会社更生法」に従って手続きをおこないます。この2つの違いは、民事再生では経営者が変わることなく、従業員の雇用もそのまま引き継がれるのに対し、会社更生では経営者と株主は現時点での会社内の地位を失いますが、従業員の雇用は維持されるという違いがあります。さらに特定調停があり、この場合は裁判所が調停し、すべての債権者の同意が得られれば再生のサポートがおこなわれます。
清算型の法的再生
清算型の法的再生では、持っているすべての財産を処分し債権者や株主に分配する必要があります。こちらは破産手続き、特別清算があります。破産手続きをすることですべての債務を清算する破産手続きは、裁判所が破産管財人を指定します。経営者が権限を失う、従業員が解雇されるといったことに加え、社会的にも広く破産が知られることになるためダメージが大きくなります。一方特別清算は破産手続きより手続きが簡易で、迅速に終わらせることが可能なのでダメージが少ないメリットがあります。
私的再生の3つの種類
私的再生は裁判所が関与をせず、債務者と債権者の交渉によっておこなわれる再生手続きのことです。この方法を採れば、事業を持続させながら再生することが可能であると同時に債権者側も負債を返済してもらえる可能性が大きくなるため多くおこなわれています。再生手続きの方法として3つの種類があります。
私的整理ガイドラインに沿っておこなう方法
政府が発表したガイドラインに沿っておこなうもので、経営者や株主が責任を持って最後まで手続きをおこなわなければなりません。ただ、債権者が同意しないなど問題が発生した場合には、法的再生に切り替えることも考えておく必要があります。
中小企業再生支援協議会を利用する方法
経済産業省から委託を受けている支援機関である、中小企業再生支援協議会に依頼し、事業再生をおこないます。企業と債権者の間に立って交渉してもらえます。協議会が関与した企業には、融資で優遇措置を受けられるため債権者側にもメリットがあります。
事業再生ADR手続きを利用する方法
裁判所の関与なく当事者同士で話し合うためADR法(裁判外紛争解決手続きの利用の促進に関する法律)に基づき、認証を受けた事業者が事業再生をおこないます。破産よりも事業再生ADRをおこなった場合に確実に弁済ができる場合や、事業再生案が実行可能であるといった条件が整う必要があります。