事業再生は、事業を維持しながら再生をおこなう必要があります。そのため今の状況から悪化することのないようスピーディーな対処が求められます。時間がかかればそれだけ債務者への負担が大きくなるだけでなく、事業も悪化しかねません。スムーズに事業再生をおこなうためにも、どう対処していけばいいのかその流れを詳しくご紹介します。
事業再生を進める流れ
会社が倒産状態になった時点で、倒産するか事業再生をおこなうかの決断を迫られることになります。早急に対策を立てないと状況は悪化するだけです。事業再生を決断してからどう行動すればいいのか詳しく見ていきましょう。
会社の状況を把握する
会社の財務状況について早急に確認しましょう。今後の見通しなどではなく現時点でどういった状況にあるのか、負債の具体的な金額や借り入れ残高、資金繰りなどを明らかにする必要があります。その上で倒産の原因を見極め、事業再生にあたっての対策を考えなければなりません。また返済を待ってもらえるかどうかの確認などもおこないます。
企業再生の方針を決定する
現状を把握した上で、事業再生が可能かどうかを判断します。また事業再生にも色々な手法がありますので、どの方法を使用するか決定する必要があります。
事業計画案を作成する
債務者などを説得する際に必要となる事業計画書の作成のために、事業計画案を考える必要があります。事業再生のために赤字となっている事業を削減し、残す必要のある事業についてどう継続するのか具体的な案を考え計画書を作成します。具体的な売却案なども含め、今後3年間でどのように再生するか利益等数字をあげて納得してもらえる計画書を作成する必要があります。
事業再生の資金を確保する
事業の再生が可能であると判断されれば、新たに資金を確保する必要が出てきます。先に作成した事業計画書を金融機関に提示して交渉することになります。事業再生となると融資してくれる金融機関を見つけるのは難しいですが、事業内容によってはスポンサーがついてくれる可能性もあります。金融機関と合わせてスポンサーを探し、資金を集めることも考える必要があります。スポンサーが多くつけば、それだけ事業再生が早く解決することにもなります。
事業再生の準備に取りかかる
資金を確保することができたら、事業再生のための準備に入ります。法的整理のためには手続きが必要となりますので、弁護士など専門家に依頼します。私的整理の場合は届け出は必要ありませんが、事業再生をすることで関係各所に影響が出ますので先に事業再生をおこなうことを伝えて問題がないように取り計らう必要があります。また企業の規模によっては説明会などを開催する必要も出てきます。
事業再生を実行する
事業再生案の承認が得られれば実行されます。債権者に弁済がおこなわれ、事業計画通りに事業再生をおこなわなければなりません。法的再生の場合は監督委員がつき、監督されることとなります。事業再生手続きの完了には法的再生の場合は3年程度かかることがほとんどです。
事業再生にかかる時間には違いがある
早急な解決が求められる事業再生ですが、現状の把握から再生まではある程度時間がかかります。短期の場合は半年程度ですが、長ければ3年以上かかることもあります。これは金融機関や取引先との交渉がスムーズにいくかどうか、また事業再生計画に同意を得られるか、企業によって違いがあるためです。事業再生の決断が遅くなればそれだけ手続きに時間がかかってしまいます。また決断が遅れると事業再生ができず、関連企業にも倒産の影響が及ぶこともあります。スムーズに交渉が進めば、一般的には2年程度で事業再生は完了します。